こんにちは。いつもブログを読んでくださってありがとうございます。
今回のテーマは、秋から冬にかけて急激に質問されることが増える「小論文の対策」です。あるテーマに沿ってちょっとした文章を書くというスタンダードな出題の一つですね。
「え、なんで全ての入試が一段落したこのタイミングで?」と思われる方も居るでしょう。ですが、むしろ今だからこそやっておきたい対策が、小論文には存在しています。
それは、「アイデアを出し、それを意見として素早くまとめる」という作業。これを入試直前で一気に練習しようと思っても、なかなか上手くいかないでしょう。
実際、小論文の質問で圧倒的に多いのが「そもそもアイデアが出てこないんだけれど、どうすればいいんですか」というもの。
序論・本論・結論という構成は、練習すれば割とすんなり使えるようになります。ただ、そもそもその下地であるアイデアが出てこない!こんな悩みを持っている生徒さんは少なくありません。
そこで今回は、今の時期だからこそ出来る“アイデアの出し方”と、そこから繋がる“意見のまとめ方”の2つについて、日々の生活やちょっとした時間でやって欲しい練習をご紹介します。
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(1)逆側の意見を知る
世の中にはたくさんの問題や議論がありますが、まずは簡単なものを想定します。すなわち、「ある意見に対して、賛成か反対か」というタイプの問題や議論です。
具体例で見ていきましょう。ズバリ、「学校へのスマホの持ち込みに賛成か反対か」という議論です。
昔は、携帯電話の持ち込みは原則禁止という学校は少なくありませんでした。自分の学校は許可制でしたし、周りには完全禁止という学校もありました。
なお、「今はどうなんだろう?」と、ふと思って検索したところ、「小中学校は持ち込み禁止で、高校は校内での使用を禁止」というのが文科省の方針なのは変わらないようで。最近ようやく見直しが始まったようですね。
話を戻しましょう。皆さんは持ち込みに賛成でしょうか?それとも反対でしょうか?あまり深く考え込まずに直感で決めてもらって構いません。とりあえずどちらかの立場をとってみて下さい。
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さて、決まりましたか?皆さんは賛成でしょうか?それとも反対でしょうか?
例えば、賛成側の意見であれば以下のようなものが考えられると思います。
・災害や事件に巻き込まれた時に、連絡をとることができる
・必要な情報を調べる習慣がつく
また、反対側の意見として以下のようなものが考えられるでしょう。
・学校はあくまで勉強をやるための場所であり、スマートフォンはそれに必要のないものだ
・スマートフォンは基本的に高価なものなので、盗難等が起こる危険性がある
まだまだあると思いますが、とりあえずこの辺りでやめておきます。どちらの意見もそれなりに説得力がありますが、このまま両者を議論させたら平行線をたどりそうな気もしますね。
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(2)逆側の意見を取り入れよう!
けれど、実はここでは賛成か反対かは重要ではありません。大事なのは「自分と逆側の意見を知る」ということです。賛成の方だったら反対側の意見を、反対側の方だったら賛成側の意見を知ることから始めましょう。
なぜ、自分と逆側の意見を知る必要があるのでしょうか?それは、自分と異なる意見を取り入れ、それに対する反論を組み込むと説得力が増すためです。
例を挙げてみましょう。さきほどのスマートフォンの例だと、
「スマートフォンの持ち込みには反対だ。
そもそも、学校は勉強するための場所だから、スマートフォンは必要ない。
スマホは高価なものなので、盗まれる危険性もあるだろう。」
というよりは、
「スマートフォンの持ち込みには反対だ。
そもそも、学校は勉強するための場所だからスマートフォンは必要ない。
とっさに連絡を取れるようになるという利点は確かにあるが、逆にインターネットを利用した犯罪に巻き込まれるリスクもある。
スマホは高価なものなので、盗まれる危険性もあるだろう。」
と言ったほうが説得力があると感じませんか?
やはり一方的な意見というのは受け入れがたいものです。「この人は自分に都合の良いことしか言わないな」とか、「内容が偏っているな……」と、一度思われてしまうと、以降の話は説得力がなくなります。
それに対し、相手側の意見を取り入れて、それに対する反論を組み入れるやり方では、「広い視点で見ている」という感想を相手に与えることができますし、それがそのまま説得力に繋がります。
試しに、今度は賛成側の意見を考えてみましょう。上の反対側の意見と同じ書き方をするのであれば、
「スマートフォンの持ち込みに賛成だ。
一番の利点は、事件や災害に巻き込まれた、あるいは巻き込まれそうな時に連絡を取る手段になることだ。
確かに学校の勉強の邪魔になる可能性はあるし、インターネットを利用した犯罪に巻き込まれる危険性もあるだろう。しかし、だからこそ、これから先のことを考えて、学校で積極的にスマートフォンとの関わり方を教えるべきだと思う。
これにより、必要な情報を、必要な時に調べるクセもつけていければなお良い。」
とまぁ、こんな感じでしょうか。真ん中あたりの太字の部分が、逆側の意見を取り入れている場所です。
繰り返しになりますが、問題に対する立場自体はどちらでも構いません。大事なのは、自分と逆側の意見を取り入れて、説得力をもたせることなのです。
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・日頃から色々な側面を見るようにしておく
ここまでの話をまとめましょう。
まずは、問題に対して、賛成か反対かの仮の立場を決めます。このときは直感で構いません。いわゆる“出発点作り”の段階です。
そして、自分とは逆側の立場の人の意見を考えます。賛成派なら反対派、反対派なら賛成派の意見を知りましょう。アイデアを練り練りしながら、1つに“まとめ”ようとしている段階です。
最後に、逆側の意見も取り入れつつ、自分の意見を作り上げます。
この手順を踏むだけで、小論文はかなり良くなります。文字数も稼ぎやすいです。「自分の意見→自分の意見の根拠→相手の意見とそれに対する反論→結論」というシンプルながら、使いやすい書き方を適用できるからですね。
この段階まで出来るようになったあなたは、既に小論文初心者を卒業しています。あとは色々な題材でたくさん小論文を書いて、書いた小論文を他の人にチェックしてもらう。この作業を繰り返せば、グングン小論文マスターに近づいていけるでしょう。
そして、最後に、いちばん重要なことなのですが、日頃から色々な視点で物事を見るクセをつけておくようにしましょう。基本にして奥義となる考え方です。
冒頭に述べたように、小論文で一番大変なのはアイデアをひねり出す段階。ある問題をどう思うか?というのは、とっさに考えてもなかなか出てくるものではありません。特に小論文で扱われるテーマはなかなか重めのものが多く、一つ考えをまとめるのにすら苦労します。
私がこれまでに指導してきた大学受験の生徒さんだと、「経済格差」「研究倫理」「医療倫理」などなど。どれもこれも超ヘビー級のテーマばかりですね。こんな課題に準備もなくぶち当たれば、お手上げに状態になってしまうのも無理からぬことです。
よって、まずは普段から様々な問題に対し、色々な見方、最低2つ以上の視点を持つクセをつけましょう。ニュースを見た時、新聞を読んだ時、誰かと会話した時、いつでもそうです。一つしか捉え方、考え方がないという問題は、そうそうあるものではありません。大抵は数え切れないくらいの意見があります。
そして、受験の半年前くらいになってからは、自分が進む分野の情報に積極的に触れていきましょう。その年に話題になった出来事は、小論文で問われることも多いですからね。
あるいは、このような「様々な視点を持ち、日頃から多くの情報に触れる」姿勢を身につけてもらうために、小論文という課題が出題されるのかもしれません。
ということで、今回はここまで。読んでくださってありがとうございました。次回もお楽しみに。
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