top of page

SNSは社会をどう変える?「情報社会学」とメディア・コミュニケーションの世界

執筆者の写真: 熊本個別指導教室
熊本個別指導教室
2 日前
読了時間: 21分

 お世話になっております。

 Instagram、TikTok、YouTube、X、LINE。

 私たちは毎日のように、さまざまなSNSやインターネットサービスを利用しています。

 友人とメッセージを交換したり、ニュースを読んだり、動画を楽しんだり。今では、インターネットを利用せずに生活することの方が難しいかもしれません。

 ところで、こうした情報技術の発展によって、私たちの社会はどのように変化しているのでしょうか。

 例えば、以前であれば、テレビや新聞などが多くの人に情報を届ける中心的な役割を担っていました。

 しかし現在では、個人がSNSを通じて情報を発信し、非常に多くの人へ届けることができます。

 その一方で、誤った情報が拡散されたり、個人のプライバシーが侵害されたりする問題も発生しています。

 こうした情報と人間、そして社会との関係を研究するのが、**「情報社会学」や「メディア社会学」**と呼ばれる学問です。

 今回は、コンピュータそのものの仕組みではなく、情報技術によって人間や社会がどのように変わるのかを考えてみましょう。


■ 情報社会学とは?

 情報社会学とは、情報通信技術の発展によって、人間の行動や社会の仕組みがどのように変化するのかを研究する学問です。

 例えば、SNSが普及する以前は、知らない人同士が日常的に交流する機会は限られていました。

 しかし現在では、同じ趣味を持つ人同士が、住んでいる地域や年齢などに関係なく交流することができます。

 また、企業が新しい商品を販売する際にも、テレビCMだけでなくSNSを利用した情報発信が行われています。

 政治や行政の分野でも、インターネットを通じて政策についての情報を発信したり、市民の意見を集めたりする取り組みがあります。

 このように、情報技術は、人間関係、経済活動、政治、教育、文化など、社会のさまざまな部分に影響を与えています。

 情報社会学では、こうした変化を社会学、経済学、法学、政治学、心理学など、さまざまな学問の視点から研究します。

 「新しい技術をどう開発するか」ではなく、「新しい技術によって社会に何が起きるのか」を考えることが、大きな特徴なのです。


■ メディア社会学とは何が違う?

 情報社会学と深く関係しているのが「メディア社会学」です。

 メディア社会学は、新聞、テレビ、インターネット、SNSなどのメディアと、人間や社会との関係を研究する分野です。

 例えば、同じニュースでも、テレビで見る場合とSNSで見る場合では、受け取り方が違うことがあります。

 テレビのニュースでは、放送局が編集した情報を視聴します。

 一方、SNSでは、友人が共有した投稿や、自分の興味に合わせて表示された情報を見ることがあります。

 そのため、同じ出来事について調べていても、利用するメディアによって目にする情報が異なる可能性があります。

 また、SNSでは、情報を受け取るだけでなく、自分自身が発信者になることもできます。

 こうした特徴が、人々の考え方や行動、人間関係にどのような影響を与えるのかを研究するわけです。

 情報社会学が情報技術と社会全体の関係を幅広く扱うのに対し、メディア社会学は、特にメディアを通じた情報の伝達や、人間・社会との関係に重点を置く分野と考えると分かりやすいでしょう。

 ただし、実際には両者の研究内容が重なることも多くあります。


■ SNSは、なぜ自分の好きな情報ばかり表示する?

 ここで、普段利用しているSNSについて考えてみましょう。

 例えば、料理の動画を何本か視聴したあと、料理に関する動画が次々と表示されるようになった経験はないでしょうか。

 これは、SNSなどのサービスが、利用者の行動に関する情報をもとに、おすすめするコンテンツを選んでいるためです。

 一般的に、こうした仕組みは「レコメンドシステム」と呼ばれています。

 利用者がどのような動画を見たのか、どの投稿に反応したのかといった情報を利用し、興味を持ちそうなコンテンツを予測します。

 便利な仕組みですが、注意したい点もあります。

 自分が興味を持つ情報ばかりを見続けることで、異なる意見や考え方に触れる機会が少なくなる可能性があるからです。

 こうした問題を考える際に使われる言葉に「フィルターバブル」があります。

 フィルターバブルとは、検索サービスやSNSなどによる情報の選別によって、利用者が自分の関心に合う情報に囲まれ、異なる情報に触れにくくなる状態を指します。

 また、似た考え方を持つ人たちとの交流を通じて、特定の意見や信念が繰り返し強められる現象は「エコーチェンバー」と呼ばれます。

 両者は似ていますが、情報を選別する仕組みと、人間同士の交流による影響という点で違いがあります。

 ただし、SNSを使えば必ずこうした現象が起きるわけではありません。

 実際にどの程度影響があるのかは、利用するサービスや人間の行動などによって異なります。

 情報社会学やメディア研究では、情報を受け取る仕組みが、人間の考え方や社会の意見形成にどう関わっているのかも重要な研究対象になります。


■ なぜ、フェイクニュースは広がるのか?

 インターネットが普及したことで、誰もが情報を発信しやすくなりました。

 これは大きな利点ですが、発信される情報がすべて正しいとは限りません。

 例えば、大きな地震が発生した際に、SNSで「ある地域の橋が崩落した」という投稿が広まったとします。

 その情報が本当であれば、避難や移動の判断に役立つかもしれません。

 しかし、事実ではない情報だった場合、人々の行動を混乱させる可能性があります。

 ここで考えたいのが、なぜ人は正しいかどうか分からない情報を信じたり、拡散したりするのかという問題です。

 例えば、知人から送られてきた情報は、知らない人が発信した情報よりも信頼できると感じる場合があります。

 また、強い不安や怒りを感じさせる内容は、確認する前に誰かに伝えたくなることもあるでしょう。

 さらに、投稿の閲覧数や共有数が多いことで、信頼できる情報だと感じてしまう可能性もあります。

 こうした問題を研究する際には、情報の内容だけでなく、人間の心理や集団の行動、情報が拡散される仕組みなどを考える必要があります。

 また、意図的に人をだますためにつくられた偽情報と、発信者自身も誤りに気づかず広めてしまう誤情報は、区別して考える必要があります。

 このような情報を正しく読み解き、信頼性を判断する力を「メディアリテラシー」といいます。

 情報を受け取った際には、誰が発信したのか、どのような根拠があるのか、ほかの信頼できる情報源でも確認できるのかを考えることが重要です。

 情報を簡単に発信できる時代だからこそ、受け取った情報を自分で検証する力が求められているのです。


■ SNSは人間関係をどのように変えた?

 情報社会学では、人間関係の変化も重要な研究テーマになります。

 例えば、SNSによって、離れた場所にいる友人とも簡単に連絡を取り合えるようになりました。

 また、同じ趣味を持つ人と知り合ったり、学校や職場以外のコミュニティに参加したりすることもできます。

 その一方で、SNSでのコミュニケーションには、対面での会話とは異なる特徴があります。

 例えば、文章だけのやり取りでは、相手の表情や声の調子が分かりません。

 そのため、冗談のつもりで送った文章が、相手には批判として受け取られることがあります。

 また、SNSでは、自分の投稿に対する反応が数字として表示される場合があります。

 投稿への「いいね」の数や閲覧数が、人間の行動や感情にどのように関係するのかも、研究対象になり得ます。

 さらに、SNS上での人間関係が、学校や職場など現実の人間関係にどのような影響を与えるのかという問題もあります。

 ただし、SNSが人間関係に悪影響だけを与えるわけではありません。

 悩みを共有できる人と出会えたり、孤立を防ぐ交流の場になったりする可能性もあります。

 大切なのは、SNSが良いか悪いかを単純に決めることではなく、どのような条件で、どのような影響が生まれるのかを考えることです。

 こうした視点が、社会学的な研究につながります。


■ 私たちの個人情報は、どこまで利用されている?

 情報社会を考えるうえで、避けて通れないのがプライバシーの問題です。

 例えば、スマートフォンで商品を検索したあと、その商品に関連する広告が表示された経験はないでしょうか。

 インターネット上のサービスでは、閲覧履歴や検索履歴、購入履歴などを利用して、広告やおすすめ商品を表示する場合があります。

 こうした仕組みは、利用者にとって便利な面もあります。

 自分の興味に合った商品や情報を見つけやすくなるからです。

 しかし、その一方で、自分の行動に関する情報が、どのように集められ、利用されているのかを十分に理解していない場合もあるでしょう。

 例えば、商品の購入履歴から生活習慣や趣味などを推測できる可能性があります。

 複数の情報を組み合わせることで、個人について詳しい特徴が推測されることも考えられます。

 では、企業はこうしたデータをどこまで利用してよいのでしょうか。

 本人の同意が必要になるのは、どのような場合でしょうか。

 便利なサービスを提供するためのデータ利用と、個人のプライバシーを守ることを、どのように両立すればよいのでしょうか。

 こうした問題には、情報技術だけでなく、法学、経済学、倫理学などの知識が必要になります。

 日本には個人情報保護法などの法律がありますが、法律を守ることに加え、利用者にとって納得できる情報の取り扱い方を考えることも重要です。

 「技術的にできること」と「社会の中で行ってよいこと」は、必ずしも同じではないのです。


■ 情報社会を支える法律や制度も研究する?

 インターネット上の問題を解決するためには、技術的な対策だけでは十分でない場合があります。

 例えば、SNS上で他人の名誉を傷つける投稿が行われた場合を考えてみましょう。

 被害を受けた人の権利を守るためには、投稿の削除や発信者に関する情報の開示などが問題になることがあります。

 一方で、利用者が自由に意見を表明する権利も重要です。

 そのため、どのような投稿を削除の対象とするのか、誰が判断するのか、どのような手続きを設けるのかを慎重に考えなければなりません。

 日本では、2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」によって、一定の大規模プラットフォーム事業者に対して、権利侵害情報への対応の迅速化や運用の透明化などが求められています。

 ただし、法律があるからといって、すべての問題が解決するわけではありません。

 表現の自由、プライバシー、被害者の権利、サービス運営者の責任など、さまざまな立場を考慮する必要があります。

 情報社会学では、こうした問題を法律や政治、倫理などの立場から考えます。

 情報技術が発展するほど、その技術を社会の中でどのように利用し、どのようなルールを設けるのかという研究も重要になっていくのです。


■ SNSやインターネットは、経済にも影響している?

 情報社会学は、経済学とも深く関係しています。

 例えば、SNSや動画配信サービスには、無料で利用できるものが数多くあります。

 では、なぜ無料でサービスを提供できるのでしょうか。

 その理由の一つが、広告による収入です。

 利用者にサービスを提供し、その画面などに広告を表示することで収益を得る仕組みがあります。

 このようなサービスでは、利用者がどのくらいの時間サービスを利用するのか、どのようなコンテンツに注目するのかが、事業の仕組みに関係する場合があります。

 ここで登場するのが「アテンション・エコノミー」という考え方です。

 アテンションとは、人間の注意や関心を意味します。

 アテンション・エコノミーとは、人々の注意や関心が経済的な価値を持つものとして扱われる状況を説明する考え方です。

 例えば、短い動画を次々と表示する仕組みや、利用者の興味に合わせてコンテンツを推薦する仕組みなどを考える際に関係します。

 ただし、すべてのSNSが同じ収益構造を持っているわけではなく、利用者の利便性と事業者の利益が常に対立するわけでもありません。

 こうしたサービスの仕組みが、利用者の行動や企業活動にどのような影響を与えるのかを分析することも、情報社会に関する研究の一つです。


■ 情報技術の発展は、誰にとっても便利なのか?

 スマートフォンやインターネットによって、私たちの生活は便利になりました。

 しかし、すべての人が同じように情報技術を利用できるわけではありません。

 例えば、スマートフォンの操作に慣れている人にとって、行政手続きをオンラインで行えることは便利かもしれません。

 しかし、デジタル機器の操作が苦手な人にとっては、手続きが難しくなる場合があります。

 また、通信環境や経済的な事情によって、インターネットを十分に利用できない人もいます。

 このような、情報通信技術を利用できる人と、そうでない人との間に生じる格差を「デジタル・デバイド(情報格差)」といいます。

 ここには、単にインターネットに接続できるかどうかだけでなく、機器を使いこなす能力や、情報を適切に利用する力の違いなども関係しています。

 例えば、学校でタブレット端末が配布されたとしても、すべての生徒が同じように学習へ活用できるとは限りません。

 家庭の通信環境や、デジタル機器の操作経験などによって、利用のしやすさが異なる可能性があります。

 そこで、情報技術を利用しにくい人が生まれないように、どのような支援や制度が必要なのかを考えます。

 情報技術を発展させるだけでなく、その便利さを誰もが利用できる社会をつくることも、情報社会学の重要な課題です。


■ AIは、人間や社会をどう変えていく?

 近年、情報社会を考えるうえで、特に注目されているのが人工知能(AI)です。

 生成AIを利用すれば、文章の作成や画像の生成、情報の整理などを、これまでより簡単に行える場合があります。

 企業では業務の効率化に活用され、教育の分野でも学習支援などへの応用が進んでいます。

 しかし、その一方で、新しい問題も生まれています。

 例えば、AIによって生成された画像や動画が、実際に撮影されたものと区別しにくくなる場合があります。

 こうした技術が悪用されれば、実際には起きていない出来事を、本当に起きたことのように見せることも可能になります。

 また、AIが大量のデータから判断を行う場合、そのデータに偏りが含まれていれば、判断結果にも偏りが生じる可能性があります。

 例えば、採用活動や人事評価などにAIを利用する場合、どのようなデータをもとに判断しているのか、その判断は公平なのかという問題が生じます。

 さらに、AIによって一部の仕事が自動化されることで、職業や働き方がどのように変化するのかという問題もあります。

 これらは、プログラミングの技術だけでは解決できません。

 法律、経済、倫理、人間の心理、社会制度など、さまざまな視点が必要になります。

 AIをどのようにつくるかという研究と、AIによって社会がどう変わるのかという研究は、異なる問いを持っているのです。


■ 情報社会学では、実際にどのような研究をする?

 ここまで、情報社会学が扱うさまざまな問題を紹介してきました。

 では、大学では具体的にどのような方法で研究するのでしょうか。

 例えば、「高校生はニュースをどこから得ているのか」というテーマを考えてみましょう。

 最初に、何を明らかにしたいのかを決めます。

 テレビ、新聞、SNS、ニュースアプリなど、利用するメディアによって情報の受け取り方に違いがあるのかを調べることが考えられます。

 そのために、アンケート調査を行い、利用するメディアの種類や利用時間、ニュースに対する意識などを調べます。

 さらに、インタビューを行い、なぜそのメディアを利用しているのか、どのような情報を信頼しているのかを詳しく聞くこともあります。

 集めたデータを統計学の方法で分析すれば、利用傾向やグループ間の違いなどを調べることができます。

 また、実際のニュース記事やSNSの投稿を集め、その内容や表現方法を分類・分析する方法もあります。

 こうした研究方法には、「社会調査」「インタビュー調査」「内容分析」などがあります。

 ただし、調査対象者の個人情報を守ることや、調査への同意を適切に得ることも重要です。

 つまり、情報社会学は、単に社会問題について意見を述べる学問ではありません。

 調査や分析によって根拠を集め、社会の仕組みや人間の行動を科学的に理解しようとする学問なのです。


■ 静岡大学の情報社会学科では何を学ぶ?

 この分野を専門的に学べる大学の一つに、静岡大学があります。

 静岡大学情報学部には、情報科学科、行動情報学科、情報社会学科の3つの学科があります。

 情報科学科では、コンピュータや情報技術を中心に学びます。

 行動情報学科では、データや情報サービス、人間の行動と情報技術との関係などを学びます。

 そして、情報社会学科では、情報と人間・社会の関係を、人文社会科学の視点から学びます。

 情報社会学科では、主に3つの系を設けています。

① メディア/コミュニケーション

 テレビ、新聞、SNSなどのメディアや、人間のコミュニケーション、メディア文化などについて学ぶ方向です。

 情報がどのように発信され、受け取られるのか、メディアが人間や社会にどのような影響を与えるのかを考えます。

② ソサエティ/公共

 情報技術と法律、経済、政治、公共政策などの関係を考える方向です。

 個人情報の保護や情報に関する制度、デジタル社会の課題、情報産業の経済的な仕組みなどを研究します。

③ ライフ/コミュニティ

 情報技術と日常生活、地域社会、人間関係などのつながりを考える方向です。

 地域コミュニティや人々の生活の変化などを、社会学や人文社会科学の視点から研究します。

 これらの分野を組み合わせながら、自分の関心に合った研究テーマを見つけることができます。

 また、情報社会学科では、人文社会科学だけでなく、データサイエンスや情報技術の基礎も学べるようになっています。

 例えば、「メディア制作演習」では、映像や雑誌などの制作を通して、情報を発信する側の立場からメディアを考えます。

 単に作品を制作するだけではなく、どのような企画を考え、誰に何を伝えるのかという問題にも取り組みます。

 また、「情報と法」という授業では、個人情報保護、インターネットに関する法律、AIと権利の問題などを学びます。

 さらに、教員の研究分野には、メディア社会学、情報法、社会学、経済学、文化人類学、哲学など、さまざまな領域があります。

 例えば、メディア社会学の研究室では、テレビドキュメンタリーの制作文化や、テレビが社会の人々をどのように描いてきたのかといったテーマも研究されています。

 このように、情報社会学科は、情報技術そのものの開発だけでなく、情報と人間・社会との関係を多角的に研究できる学科なのです。

■ 情報社会学は文系? 理系?

 情報社会学は、主に社会学や法学、経済学などの人文社会科学を基盤とするため、文系に近い分野といえます。

 しかし、情報社会を研究するためには、情報技術についての知識も必要になります。

 例えば、SNSによって情報が拡散される仕組みを理解するためには、ネットワークやアルゴリズムについての基礎知識が役立ちます。

 また、アンケート調査によって集めたデータを分析する場合には、数学や統計学の知識が必要になります。

 そのため、文系科目だけを学んでいればよいというわけではありません。

 静岡大学情報学部でも、「文工融合」という考え方を重視しています。

 これは、人文社会科学の視点と、情報技術や工学の視点を組み合わせて学ぶという考え方です。

 情報技術によって社会を便利にするためには、技術を理解する人だけでなく、人間や社会を理解する人も必要です。

 両方の視点を持つことが、これからの情報社会において重要になると考えられています。


■ 情報社会学に向いているのは、どんな人?

 情報社会学というと、情報に関するニュースや社会問題に興味がある人に向いているイメージがあるかもしれません。

 もちろん、そうした関心は大切です。

 しかし、入り口となる疑問は、もっと身近なものでも構いません。

 例えば、「なぜSNSでは同じような動画が繰り返し表示されるのだろう?」と考えることも、その一つです。

 また、「なぜ人はネット上の噂を信じてしまうのだろう?」「なぜ同じニュースでも、人によって受け取り方が違うのだろう?」といった疑問も研究テーマにつながります。

 ほかにも、インターネット広告の仕組みや、デジタル社会の法律、AIによる社会の変化などに興味がある人にも関係する分野です。

 そして、この分野で重要になるのが、物事を一つの方向からだけ見ないことです。

 例えば、SNSの利用時間が長いことについて考える場合でも、単に「利用時間が長いから悪い」と結論づけるわけにはいきません。

 利用する目的、内容、生活環境などによって、影響は異なる可能性があります。

 そのため、調査や分析を通して、実際にどのような関係があるのかを調べる必要があります。

 身近な出来事に疑問を持ち、さまざまな立場から物事を考えることが好きな人にとって、興味深い学問になるでしょう。


■ 将来は、どのような仕事につながる?

 情報社会学を学んだ人の進路は、必ずしもIT企業の技術職に限られません。

 例えば、新聞社や放送局などのメディア企業で、情報の取材や発信、企画などに関わる仕事があります。

 広告会社や一般企業では、消費者の行動や社会の変化を分析し、広報やマーケティングに生かす仕事があります。

 また、IT企業では、サービスの企画や運営、利用者に関する調査、情報管理などに携わる道もあります。

 行政機関では、デジタル化に関する政策や、住民への情報提供、地域社会の課題解決に関わることも考えられます。

 そのほか、情報社会やメディアに関する研究を続け、大学院へ進学する道もあります。

 静岡大学の公式案内でも、メディア企業、広告・広報、ICT業界、公務員、金融機関、運輸・交通業など、多様な進路が紹介されています。

 このように、情報社会学で身につけた知識は、さまざまな分野で活用することができます。

 ただし、希望する職業によって必要な専門性は異なるため、大学の授業内容や研究室、卒業生の進路まで確認することが重要です。


■ メディアデザインと情報社会学は、どう違う?

 前回の記事では、九州大学のメディアデザインコースを例に、映像やCG、情報デザインなどについて紹介しました。

 では、今回の情報社会学とは何が違うのでしょうか。

 例えば、SNSのアプリを開発するとします。

 画面の配置や色、操作方法を考え、利用者が使いやすいデザインを研究するのは、メディアデザインやインタラクションデザインの分野です。

 一方、そのSNSが人間関係や社会の意見形成にどのような影響を与えるのかを研究するのは、情報社会学やメディア社会学の分野です。

 また、SNSの利用データから人々の行動パターンを分析する場合には、データサイエンスの知識も関係します。

 そして、SNSのサービスを実際に動かすためには、ソフトウェア工学や情報通信工学の技術が必要です。

 このように、同じサービスでも、どの部分に注目するのかによって研究する学問が変わります。

 もちろん、複数の分野が重なる研究もあります。

 「どうすれば情報を分かりやすく伝えられるか」を考えるのがメディアデザイン、「情報が人間や社会にどのような影響を与えるのか」を考えるのが情報社会学と整理すると、違いを理解しやすいでしょう。


■ 「情報系に進みたい」の、その先を考えよう

 これまで、情報系の学問として、ソフトウェア工学、データサイエンス、情報通信工学、ロボット工学、メディアデザインなどを紹介してきました。

 ソフトウェア工学は、アプリやシステムを設計・開発するための学問です。

 データサイエンスは、データを分析し、特徴や規則性を見つけ、課題解決につなげる学問です。

 情報通信工学は、情報を正確かつ安全に届けるための通信技術を研究する学問です。

 ロボット工学は、コンピュータやセンサーを利用して、実際の機械を動かす技術を研究する学問です。

 メディアデザインは、映像や情報技術を利用して、人に情報を伝えたり、新しい体験を生み出したりする学問です。

 そして今回紹介した情報社会学は、情報技術によって人間や社会がどのように変化するのかを考える学問です。

 ここまで見てくると、「情報系」という言葉が、いかに幅広い学問を含んでいるのかが分かるのではないでしょうか。

 コンピュータを使って何かをつくることだけが、情報系の学びではありません。

 情報によって人間の行動が変わり、社会の仕組みが変化することも、重要な研究対象なのです。

 情報技術が発展すれば、それだけで社会が必ず良くなるとは限りません。

 便利な技術が生まれたとしても、その技術を利用する人間や、それを支える社会制度について考える必要があります。

 「何ができる技術なのか」だけでなく、「その技術によって社会をどう変えたいのか」を考えること。

 それも、情報系の学問を学ぶ大きな意味の一つではないでしょうか。

 大学の進路を考える際には、学部や学科の名前だけではなく、自分が「情報の何に興味を持っているのか」を、もう一歩掘り下げてみましょう。

 普段何気なく利用しているSNSやニュース、インターネットでの人間関係に対する小さな疑問が、大学で研究したいテーマにつながるかもしれません。


 
 
 

コメント


2018.7開校 2021.12法人登記

〒864−0031
熊本県荒尾市川登1867−5

〒836-0802
福岡県大牟田市日出町1丁目4−1

お問い合わせはこちら

以下のフォームにご記入の上、送信ボタンをクリックしてください。
熊本個別指導教室
大牟田個別指導教室
熊本個別指導教室 フリースクールコース

ウィルス感染対策の措置について

当教室では以下の形でウイルス対策を取らせていただいております。

①不織布マスクの用意しております。ご自由にご利用ください。

②次亜塩素酸水を50ppm程度に薄めたものを加湿器で噴出させることで常時空間除菌をしております。

 次亜塩素酸水に関してはこちらをご参照ください。

③教室入り口にて、アルコールジェルを設置しております。出入りの際にご利用くださいませ。

④お手洗い前の洗面台にて、うがい薬と紙コップを設置しております。こちらもご自由にご利用くださいませ。

​⑤定期的に窓を開けての換気を行っております。

bottom of page