アプリをつくるだけじゃない!「情報科学」と「ソフトウェア工学」の世界

お世話になっております。
「将来はアプリを開発してみたい」「Webサービスをつくる仕事に興味がある」
そんな高校生に知っておいてほしいのが、情報科学(コンピュータサイエンス)とソフトウェア工学という学問分野です。
どちらもコンピュータに関わる学問ですが、単にプログラミングの技術を身につけるだけではありません。
実は、私たちが普段使っているアプリの裏側には、非常に多くの技術と工夫が隠されています。
■ アプリはプログラムを書くだけでは動かない
例えば、スマートフォンで使う学習管理アプリを考えてみましょう。
生徒が問題を解くと、アプリが正解かどうかを判定し、学習時間や正答率を記録します。そして、これまでの成績から苦手な単元を分析し、次に取り組む問題を提案することもできます。
一見すると単純な仕組みですが、実際にはさまざまな技術が組み合わされています。
画面を表示する技術、入力された情報を処理する技術、学習記録を保存するデータベース、インターネットを通じて情報をやり取りするネットワークなどです。
さらに、1万人の生徒が同時に利用した場合でも正常に動くのか、他人の成績が勝手に見られることはないか、といった問題も考えなければなりません。
つまり、アプリ開発とは、プログラムを書くことだけではなく、さまざまな仕組みを組み合わせ、一つのシステムとして成立させることなのです。
■ ソフトウェア工学とは?
こうしたアプリやシステムを、正確かつ効率的に開発する方法を研究する分野が「ソフトウェア工学」です。
例えば、次のような問題を考えます。
どうすれば不具合の少ないアプリをつくれるのか。
多くの利用者が同時に使っても、処理速度を落とさずに動かせるのか。
開発したアプリを安全に更新し続けるには、どうすればよいのか。
複数の開発者が協力して、大規模なシステムをつくるにはどうすればよいのか。
こうした課題を解決するために、システム設計、プログラミング、テスト、品質管理、開発手法などを学びます。
ゲームやスマートフォンアプリだけでなく、銀行のシステム、交通機関の運行管理、企業の業務システムなど、社会のさまざまな場面に応用されている分野です。
■ コンピュータサイエンスとは何が違う?
一方、ソフトウェア開発の基礎となる学問が「コンピュータサイエンス(計算機科学)」です。
こちらは、コンピュータによる情報処理の仕組みや、その理論を幅広く研究する分野です。
代表的なものに「アルゴリズム」があります。
アルゴリズムとは、問題を解決するための処理の手順のことです。
例えば、100万人のデータから特定の人物を探し出すとき、最初から一人ずつ確認する方法もあれば、データの並び方を利用して効率よく探す方法もあります。
どちらも答えにたどり着けるかもしれませんが、必要な時間には大きな差が生まれます。
こうした処理の効率性を数学的に分析することも、コンピュータサイエンスの重要な研究です。
「コンピュータで何ができるのか、どうすれば効率よく計算できるのか」を考えるのがコンピュータサイエンス、「それを利用して、信頼できるソフトウェアをどう開発するか」を考えるのがソフトウェア工学と整理すると、違いが分かりやすいでしょう。
もちろん、両者は密接に関係しています。
■ 同じアプリ開発でも専門分野はさまざま
さらに、アプリ開発の中にも多くの専門領域があります。
利用者が直接操作する画面を開発する「フロントエンド」、データ処理やシステムの裏側を担当する「バックエンド」、大量の情報を管理する「データベース」、使いやすい操作方法を研究する「UI・UX」などです。
また、不正アクセスを防ぐ情報セキュリティや、大量の利用者に対応する分散システムの研究もあります。
同じ「アプリをつくりたい」という希望でも、画面の使いやすさに興味がある人と、複雑な処理を効率よく動かすことに興味がある人では、学びたい専門分野が異なるわけです。
■ 大学では何学科を選べばよい?
こうした分野は、主に情報科学科、情報工学科、ソフトウェア情報学科などで学ぶことができます。
例えば、静岡大学 情報学部 情報科学科は、進路を調べる際の候補の一つです。
ただし、注意してほしいのは、学科の名前だけで学べる内容が決まるわけではないということです。
同じ情報工学科でも、人工知能の研究に力を入れている大学もあれば、コンピュータの仕組みやネットワーク、ソフトウェア開発などに重点を置く大学もあります。
大学を選ぶときは、学科名だけでなく、授業科目や研究室の研究テーマまで確認してみましょう。
■ プログラミングができるだけでは足りない?
この分野で重要になるのが、数学的な考え方と論理的思考力です。
「なぜ、この処理方法が効率的なのか」「どのような条件で不具合が発生するのか」「どうすれば同じ結果を、より少ない手順で得られるのか」
こうした問いに向き合うには、問題を整理し、筋道を立てて考える力が必要です。
高校で学ぶ数学や「情報Ⅰ」の内容は、その土台の一つになります。
そして、実際にプログラムをつくって試し、失敗した原因を調べ、改善していく経験も大切です。
■ 「情報系に進みたい」の、その先を考えよう
「情報系の大学に行きたい」という希望は、進路選択の出発点としてはよいでしょう。
しかし、情報学は非常に幅広い分野です。
アプリを開発したいのか、人工知能を研究したいのか、コンピュータの仕組みそのものを理解したいのか。それによって、大学で学ぶべき内容も変わってきます。
大切なのは、「情報を学びたい」から、もう一歩踏み込んで「情報の何を学びたいのか」を考えることです。
大学の学部・学科を調べるときには、ぜひ、その違いにも注目してみてください。




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