「本を読みなさい」だけでは足りない?動画時代の子どもの読解力を育てる方法

お世話になっております。
「最近の子どもは、文章を読む力が落ちている」こうした声を聞くことがあります。ただ、単純に「昔より本を読まなくなったから、読解力が落ちた」と考えるだけでは、現在の子どもたちを取り巻く環境を十分に捉えられないように思います。 今の子どもたちは、文章だけではなく、YouTube、Instagram、TikTok、Webサイト、SNSなど、さまざまな形で大量の情報に触れています。 そのため、これから必要になる「読解力」は、単に長い文章を最後まで読む力だけではありません。たくさんの情報の中から必要なものを見つけ、「何が重要なのか」「これは事実なのか、それとも発信者の意見なのか」「本当に正しい情報なのか」を考える力も、これからの読解力の一つだと考えています。
動画を見ること自体が悪いわけではない
読解力について考えるとき、「YouTubeばかり見ているからダメ」「スマートフォンをやめて本を読ませた方がいい」という話になりがちです。 もちろん、本を読むことには多くの良さがあります。しかし、本を読むことが苦手な子どもに、ただ「本を読みなさい」と言い続けても、なかなか習慣にはなりません。 それならば、子どもたちが普段から利用しているYouTubeやInstagramを、読解力を鍛える教材として利用してみるのも一つの方法です。 大切なのは、「動画を見ること」ではなく、「動画を見て終わること」です。
動画を見た後に「何の話だった?」と聞く
最も簡単にできる方法が、動画を見終わった後に、「結局、この動画は何の話だった?」と聞いてみることです。 たったこれだけでも、子どもの頭の中では、「動画を見る→重要な内容を選ぶ→内容を整理する→自分の言葉に置き換える」という作業が必要になります。 例えば10分のYouTube動画を見たのであれば、「30秒くらいで説明してみて」とすると、さらに効果的です。すべてを話すことはできませんので、「何を残して、何を削るのか」を考えなければならないからです。 これは、文章を要約するときにも必要になる力です。
「事実」と「意見」を分けてみる
YouTubeやInstagramには、さまざまな意見が流れています。そこで、動画を見ながら、「これは事実?」「それとも、この人の意見?」と考えてみます。 例えば、「この勉強法をすれば成績が上がります」という動画があったとします。この場合、「この方法で成績が上がった人がいた」ということと、「だから全員この勉強法をするべきだ」ということは同じではありません。 情報をそのまま受け取るのではなく、「その意見には、どんな根拠があるのか」と考える習慣をつけることが大切です。
「この動画だけでは分からないこと」を考える
もう一つおすすめなのが、「この動画だけでは分からないことは何だろう?」と考える方法です。 例えば、「この勉強法で偏差値が10上がった」というショート動画が流れてきたとします。そこで、「何か月勉強したの?」「もともとの偏差値はいくつだったの?」「何人が試したの?」「ほかの勉強もしていなかったの?」と考えてみます。 書かれていることだけを理解するのではなく、「書かれていない情報に気付く」ことも、大切な読解力です。
同じテーマの動画を2本見て比較する
少し慣れてきたら、同じテーマを扱った動画を2本見比べてみるのもよいでしょう。 例えば、「スマートフォンは勉強に悪影響なのか」というテーマについて、異なる発信者の動画を2本見ます。そのうえで、「2人とも同じことを言っている部分」「意見が違う部分」「使っている根拠の違い」を探します。 そして最後に、「どちらの説明の方が納得できた?」「なぜそう思った?」と聞いてみます。これによって、複数の情報を比較して判断する練習になります。
動画に自分でタイトルをつける
動画を見たあと、「この動画に自分でタイトルをつけるなら?」と聞く方法もおすすめです。できれば、「15文字以内」など、少し短めにします。 タイトルをつけるためには、「この動画で一番伝えたかったことは何なのか」を理解しなければなりません。つまり、動画の中心となる内容をつかむ練習になります。
「見ていない人に説明する」は特におすすめ
家庭でも教室でも使いやすいのが、「その動画を見ていない人に説明してみて」という方法です。 例えば、「先生はその動画を見ていないから、内容を教えて」と聞きます。すると、「面白かった」「すごかった」だけでは伝わりません。 誰が何をしたのか。なぜそうなったのか。結果としてどうなったのか。こうした内容を順序立てて説明する必要があります。 これは国語だけでなく、社会や理科、さらには数学の文章題を理解する力にもつながっていきます。
「動画を減らす」だけが解決策ではない
スマートフォンや動画サービスが当たり前になった今、「動画を見るのをやめなさい」だけで問題を解決することは難しいでしょう。 むしろ、「見る→考える→整理する→自分の言葉で説明する」という習慣に変えていくことの方が現実的です。 YouTubeもInstagramも、ただ眺めているだけなら娯楽です。しかし、「なぜ?」「本当?」「結局何の話?」という一言を加えるだけで、立派な学習教材にもなります。
家庭では「動画+3問」から
難しいことを毎日する必要はありません。動画を1本見た後に、
1.この動画は何の話だった?2.一番大事だと思ったことは?3.この動画だけでは分からないことは?
この3つを聞くだけでも十分です。 毎日少しずつ、「情報を受け取るだけ」から、「情報について考える」習慣に変えていく。これからの時代の読解力を育てるうえでは、こうした取り組みも大切なのではないでしょうか。 「本を読みなさい」と言う前に、まずは子どもが普段見ている一本の動画から始めてみてもよいかもしれません。




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