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「間違えるくらいなら書かない」子どもたち。今回はもう少し深掘りしてみます

執筆者の写真: 熊本個別指導教室
熊本個別指導教室
4 日前
読了時間: 8分

 お世話になっております。

前回、「間違えるくらいなら答えを書かない子どもが増えている」

という話を書きました。

 実際、教室でも、

「たぶんこれだと思う。でも間違っていたら嫌だから書かない」

という生徒を見かけることがあります。

 そして最近、このタイプの生徒について、もう少し考えることがあります。

 単に、

「間違えるのが怖い」

というだけではないのではないか、ということです。

 今回は、そのあたりをもう少し深掘りしてみたいと思います。


本当に怖いのは「×」ではないのかもしれない

 普通に考えれば、テストで答えを書かなければ0点です。

 間違った答えを書いても0点。

 点数だけを見れば同じです。

 それなのに、なぜ空欄を選ぶのでしょうか。

 もしかすると子どもが避けているのは、

「×になること」そのものではない

のかもしれません。

 むしろ、

「自分が間違えたという事実をはっきりさせること」

を避けているのではないか。

 答えを書けば、

「自分はこれが正しいと思った。でも違った」

ということが残ります。

 一方で空欄なら、

「分からなかった」

「時間がなかった」

「ちゃんと考えなかった」

という逃げ道が残ります。

 極端に言えば、

空欄にしておけば、自分の能力が否定されたとは感じずに済む

のです。


「本気を出していないだけ」にしておきたい心理

 これと似た行動は、勉強以外でもあります。

「別に勉強してないし」

「本気でやってないから」

「興味ないし」

と、先に言ってしまう子です。

 もし一生懸命勉強して、それでも点数が悪かったら、

「頑張ったのにできなかった」

という事実と向き合わなければなりません。

 でも、

「そもそも勉強していない」

ことにしておけば、

「本気を出せばできるかもしれない自分」

を残しておけます。

 答案を書かないことも、少し似ています。

「間違えた」のではなく、

「答えなかっただけ」

にしておく。

 これは怠けているように見えて、実はかなり強い自己防衛なのかもしれません。


「失敗したくない」が「挑戦しない」に変わる

 本来なら、

分からない↓考えてみる↓答えを書く↓間違える↓直す

という経験を繰り返しながら、勉強はできるようになります。

 ところが、

間違えることへの抵抗感が強すぎると、この最初の挑戦自体を避ける

ようになります。

 難しそうだから書かない。

 自信がないから書かない。

 先生に当てられそうなら目をそらす。

 分からなくても質問しない。

 こうなってくると、本当に厄介です。

 なぜなら、

失敗を避けるために、成長するための経験まで避けてしまう

からです。


成績の良い子にも起こります

 これは、勉強が苦手な子だけの問題ではありません。

 むしろ、

今まで比較的よくできていた子

にも起こります。

 小学生の頃から、

「頭がいいね」

「何でもできるね」

と言われ続けてきた子ほど、

「できる自分」でいなければならない

という感覚を持つことがあります。

 すると、中学生になって問題が難しくなったとき、

初めて、

「分からない」

「間違える」

という経験が増えてきます。

 そこで、

「難しくなったから練習しよう」

と考えられればいいのですが、

「できない自分を見せたくない」

という方向へ行くと、

答えを書かない。

難しい問題を避ける。

質問しない。

という行動が始まります。

 だから、

空欄が多い=学力が低い

とは限りません。

 むしろ、

「間違えることに慣れていない」

というケースもあります。


「分からない」と言えない子も増えている気がします

 もう一つ気になるのが、

「分からない」と言えない子

です。

 こちらが、

「ここ分かる?」

と聞くと、

「分かる」

と言う。

 でも問題を解かせるとできない。

 もう一度聞くと、

「まあ、なんとなく」

となる。

 こういう子は、

本当に自分で分かっていると思っている場合もありますが、

「分からないと言うのが嫌」

という場合もあります。

 分からないと言ったら、

頭が悪いと思われる。

怒られる。

説明を聞かないといけない。

恥ずかしい。

 そんな感覚があるのかもしれません。

 特に最近、私たちの教室では男子生徒に、

分からないことを素直に出さない

タイプが目立つように感じます。

 もちろん全員ではありません。

 ただ、

「別に」

「分からん」

「もういい」

と一見投げやりに見える態度の裏に、

「できない自分を見られたくない」

という気持ちが隠れているケースはあるように思います。


「自信がないなら書かない」が習慣になる怖さ

 この状態が続くと、入試ではかなり不利になります。

 入試では、

「100%自信がある問題だけ答える」

というわけにはいきません。

 例えば、国語の記述。

 英語の英作文。

 数学の途中式。

 理科や社会の記述問題。

 こうした問題は、

完全に自信がなくても、持っている知識を使って書く

必要があります。

 部分点がもらえることもあります。

 ところが、

「間違っていたら嫌だから書かない」

が習慣になっていると、

本来取れるはずの点数まで捨ててしまいます。

 これはかなりもったいない。

 だから練習段階から、

「自信がなくても書いてみる」

という経験が必要です。


大人が「正解」ばかり見ていないか

 そしてここは、私たち大人も考えないといけない部分です。

 子どもが問題を解いたとき、

つい、

「何点だった?」

「何問間違えた?」

と聞いてしまいます。

 もちろん結果は大切です。

 ただ、それだけが続くと、子どもにとって、

正解=良い間違い=悪い

という感覚が強くなります。

 すると、

「考えて書いたけど間違えた」

よりも、

「書かずに間違えなかったことにした」

方が心理的に楽になってしまいます。

 だから、

「正解したか」

だけではなく、

「どう考えたか」

も見てあげたいところです。

「ここまで考えたのは合っている」

「答えは違ったけど、途中の考え方はいい」

「自信なかったのに書いたのは良かった」

 こういう評価も必要です。


×を付けるだけではなく、「考えた跡」を見る

 塾でも同じです。

 答案を見るとき、

正解不正解

だけで判断してしまうと、その子の学習状態を見誤ることがあります。

 例えば同じ不正解でも、

全く分からず適当に書いたのか。

途中まで正しく考えていたのか。

最後の計算だけ間違えたのか。

二択で迷って外したのか。

では、意味が全く違います。

 だからこそ、

答案は点数を見るものでもありますが、子どもの考え方を見るものでもある

と思っています。

 空欄が多い生徒ほど、

「どうして書かなかったの?」

ではなく、

「何を考えていた?」

と聞いてみる。

 すると意外と、

「ここまでは分かってた」

という答えが返ってくることがあります。


「間違えていい場所」が必要

 私は、家庭学習や塾というのは、

間違えていい場所

であるべきだと思っています。

 本番の入試では、できるだけ間違えない方がいい。

 でも、そのために今練習しているわけです。

 だから、

練習問題で間違える。

質問する。

勘違いする。

分からないと言う。

これは全部、悪いことではありません。

 むしろ、

今間違えておけば、本番で間違えずに済む可能性が高くなる。

 そう考えた方がいい。


間違えない子より、「間違えた後に動ける子」

 勉強が伸びる生徒を見ていると、

 必ずしも最初から正解率が高いわけではありません。

 よく間違える子でも伸びます。

 違いは、

間違えた後にどうするか

です。

「なんで間違えたんだろう」

と確認する。

もう一回解く。

質問する。

次はできるようにする。

 この行動ができる子は伸びます。

 逆に、

間違えること自体を避け続けると、学習する機会が少なくなります。

 だから子どもたちには、

「間違えないこと」より、「間違えてもやり直せること」

を身につけてほしいと思っています。


答案の空欄を、少し違う目で見てみる

 答案に空欄が並んでいると、

「もっと真面目にやりなさい」

と言いたくなるかもしれません。

 もちろん、本当にやっていない場合もあります。

 でも、

「もしかすると、この子は失敗を怖がっているのかもしれない」

という見方も持っておく。

 それだけで、声のかけ方が変わります。

「なんで書かないの?」

ではなく、

「答えは何だと思った?」

「どこまで分かった?」

「間違ってもいいから書いてみよう」

と聞いてみる。

 そうすると、

空欄だった答案に少しずつ答えが書かれるようになるかもしれません。

 前回も書きましたが、子どもに必要なのは、

絶対に間違えない力ではありません。

 分からなくても考える。

 自信がなくても一歩出してみる。

 間違えたら修正する。

 そして、また挑戦する。

 その経験を積み重ねること。

 もしかすると今、私たち大人が子どもたちに教えるべきなのは、

「正しい答え」だけではなく、「間違えても大丈夫」という感覚

なのかもしれません。

 
 
 

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