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気付かないうちにやっているかも。「わが子への教育ハラスメント」に注意してください

執筆者の写真: 熊本個別指導教室
熊本個別指導教室
2 日前
読了時間: 8分

 お世話になっております。今回は、ちょっと重い内容です。

 

 子どもの成績が下がった。

 受験が近づいているのに、なかなか勉強しない。

 スマホばかり見ている。

 そんな姿を見ると、保護者としてはどうしても心配になります。

「もっと勉強しなさい」

「このままで高校に行けると思ってるの?」

「あなたのために言っているのよ」

 こうした言葉を、一度も使ったことがないというご家庭の方が少ないかもしれません。

 もちろん、子どもの将来を心配して勉強について声をかけること自体が悪いわけではありません。

 ただ、その声かけが強くなりすぎたり、子どもの気持ちを無視して親の希望を押しつけるようになったりすると、

「教育ハラスメント」や「教育虐待」

と呼ばれる状態に近づいてしまうことがあります。


「教育ハラスメント」とは?

 まず知っておきたいのは、「教育ハラスメント」は、法律で明確に定義された正式な児童虐待の分類名ではありません。

 一方で、教育やしつけを理由に、子どもの意思や能力を無視して過度な要求を続けたり、人格を傷つける言葉を浴びせたりする問題は、教育・心理・医療の分野でも取り上げられています。

 日本教育心理学会でも、子どもの心を傷つける教育や指導を「educational maltreatment(教育上の不適切な扱い)」という視点から取り上げています。

 つまり問題なのは、

「勉強させること」そのものではありません。

 大切なのは、

その教育が子どものためになっているのか、それとも大人の期待を満たすためのものになっているのか

ということです。


こんな言葉、つい使っていませんか?

 例えば、テストで40点を取った子どもに、

「40点だったんだね。間違えたところを一緒に確認しよう」

と声をかけるのと、

「なんで40点しか取れないの?」「○○ちゃんは90点だったらしいよ」「これだけ塾代を払っているのに」「本気でやってないからでしょ」

と言うのでは、子どもの受け取り方は大きく違います。

 後者が何度も繰り返されれば、子どもは次第に、

「点数が悪い自分には価値がない」

と感じるようになるかもしれません。

 児童虐待防止法でも、著しい暴言や拒絶的な対応など、子どもに大きな心理的外傷を与える言動は「心理的虐待」に含まれます。


教育ハラスメントになりやすい行動

 特に注意したいのが、次のような行動です。

「もっと上を目指せる」と、本人が望んでいない学校を受験させる。

テストの点数が悪いと、長時間説教する。

兄弟姉妹や友達と成績を比べる。

「こんな問題も分からないの?」と能力を否定する。

本人が疲れていても、予定していた勉強が終わるまで休ませない。

習い事や塾を本人の意思とは関係なく次々と増やす。

成績が下がったことを理由に、必要以上に遊びや友人関係を制限する。

「あなたのためにこれだけお金を使っている」と繰り返し言う。

親が決めた大学・高校・職業以外を認めない。

 厚生労働省の監護に関するガイドラインでも、

「児童の意思に反し、学力等に見合わない学校への進学を要求する」

「児童が希望する進路に正当な理由なく同意しない」

「児童の望まない、または参加困難な部活動・習い事・学習塾などを要求する」

といった行為が、子どもの教育上の支障となり得るものとして示されています。


一番怖いのは「あなたのため」という言葉

 教育ハラスメントが難しいのは、

親側に悪意がないことが多い

という点です。

「将来困らないようにしてあげたい」

「自分と同じ苦労をさせたくない」

「今頑張れば、将来楽になる」

「この子ならもっとできるはず」

 どれも、親として自然な気持ちです。

 だからこそ、

「これはこの子のためなんだから」

と考えると、行動がどんどんエスカレートしていることに気付きにくくなります。

 日本医師会の資料でも、親が子どもに過度な期待を持ち、親の意思どおりに支配しようとする状況が「教育虐待」につながる場合があることが指摘されています。


「やらせること」すべてがハラスメントではありません

 ここは誤解してほしくないところです。

「宿題をしなさい」

「テスト前だから今日は勉強しよう」

「スマホは一度置こう」

「高校について一緒に考えよう」

と親が言うことまで、すべて教育ハラスメントになるわけではありません。

 子どもはまだ成長の途中です。

 自分だけで生活や勉強を完全に管理できないこともあります。

 保護者が一定のルールを作ったり、必要なときに背中を押したりすることは当然必要です。

 問題になるのは、

子どもの状態や意思に関係なく、親の要求だけを一方的に押し続けること

です。


「期待」と「強制」の境目

 例えば、

「できれば○○高校を目指してほしい」

と伝えることと、

「○○高校以外は認めない」

では大きく違います。

「次のテストは80点を目指そう」

と一緒に目標を決めることと、

「80点以下ならスマホを取り上げる」

と一方的に決めることも違います。

 つまり、

親が目標を持つことが問題なのではなく、子どもにも選ぶ余地があるか

が重要なのだと思います。


成績が親子関係の中心になっていませんか?

 塾で子どもたちと接していると、ときどき気になることがあります。

 テストが返ってきたときに、

「お母さんに怒られる」

と最初に言う生徒です。

「間違えたところを直さなきゃ」

ではありません。

「次は頑張ろう」

でもありません。

「怒られる」

なのです。

 こうなってくると、子どもにとって勉強の目的が、

「できるようになること」ではなく、「怒られないこと」

に変わってしまいます。

 すると、

答えを写す。点数を隠す。テストの日程を言わない。分からないことを分からないと言えない。

といった行動につながることがあります。

 本来、失敗したときに一番相談できる存在であってほしい保護者に、失敗を隠すようになってしまう。

 これは少し考えたい状態です。


「褒めているから大丈夫」とも限りません

 実は、叱ることだけが問題とは限りません。

「100点なんてさすが!」

「学年1位なんて自慢の子!」

という言葉も、それだけならもちろん悪いものではありません。

 ただ、

成績が良いときだけ極端に褒める

状態が続けば、子どもは、

「成績が良い自分だから認めてもらえる」

と感じる場合があります。

 だからこそ、

結果だけではなく、

「毎日続けていたね」

「前に間違えた問題ができたね」

「分からないところを質問できたね」

など、

努力や成長の過程を見ること

も大切です。


子どもにこんな変化があったら、一度立ち止まって考える

 教育へのプレッシャーが強くなりすぎると、

・テスト前になると極端に不安になる・点数を隠すようになる・間違えることを異常に怖がる・勉強の話をすると黙り込む・「どうせ自分は頭が悪い」と言う・親の前で勉強の話を避ける・眠れない、食欲が落ちるなど生活面にも変化が出る

といった様子が見られることがあります。

 もちろん、こうした変化だけで「教育ハラスメントが原因」と決めつけることはできません。

 ただ、

子どもが勉強そのものより、親の反応を怖がっている

ようなら、一度声のかけ方を見直してみる価値はあります。


ときどき「誰のための受験なのか」を考えてみる

 特に中学受験、高校受験、大学受験では、保護者も真剣になります。

 当然です。

 失敗させたくない。

 できるだけ良い環境へ進ませたい。

 将来困ってほしくない。

 その気持ちは、子どもを大切に思っているからこそ生まれます。

 ただ、だからこそ時々、

「これは誰のための受験なんだろう?」

と考えてみてほしいと思います。

 親が行かせたい学校なのか。

 本人が行きたい学校なのか。

 親が安心できる進路なのか。

 本人が納得して選んだ進路なのか。

 この二つが完全に一致するとは限りません。


子どもの人生と、親の人生は別のもの

 教育には、ある程度の働きかけが必要です。

 放っておけばいいという話ではありません。

 しかし、

子どもの将来を考えることと、子どもの将来を親が決めてしまうことは違います。

 勉強するのも子ども。

 受験するのも子ども。

 高校や大学へ通うのも子どもです。

 親にできるのは、

選択肢を増やしてあげること。必要な情報を与えること。困ったときに支えること。そして、最後は本人が選べるようにすること。

 なのではないでしょうか。

 教育ハラスメントは、特別な家庭だけで起きるものではありません。

 むしろ、

「この子の将来のために」

と一生懸命になっている家庭だからこそ、気付かないうちに距離が近づいてしまうことがあります。

 だから時々、

「この声かけは、この子を前に進ませているだろうか。それとも追い詰めているだろうか」

と考えてみる。

 それだけでも、親子の関わり方は少し変わってくるのではないかと思います。

※「教育ハラスメント」は法令上の正式な児童虐待分類ではありません。子どもへの著しい暴言・心理的外傷を与える言動などは、程度によって児童虐待防止法上の心理的虐待に該当する場合があります。文部科学省も、子どもをけなしたり辱めたりする言動は子どもの心を傷つけ、権利を侵害する行為であるとしています。



 
 
 

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