女子の方が算数・数学は苦手?実際のデータから見た結果。

「女の子は数学が苦手」「男の子の方が数学に向いている」。そんなイメージを持っている方は、意外と多いのではないでしょうか。
しかし、日本の子どもたちを対象に実施されている文部科学省の「全国学力・学習状況調査」を見ると、少し違った姿が見えてきます。
実際の数学の成績に、大きな男女差はない
令和7年度(2025年度)の全国学力・学習状況調査では、小学6年生の算数と中学3年生の数学について、男女別の平均正答率も公表されています。
小学6年生・算数
男子 59.0%女子 57.3%
差は 1.7ポイントです。
中学3年生・数学
男子 49.1%女子 48.6%
差はわずか 0.4ポイントです。
確かに数字だけを見れば男子の方が少し高いのですが、文部科学省自身も、算数・数学について**「大きな男女差は見られない」**としています。つまり、全国規模のテスト結果を見る限り、「女子は男子より数学ができない」と言えるほどの差は確認されていません。(文部科学省)
ところが「数学が得意だ」と思っている割合は大きく違う
興味深いのはここからです。
同じ調査で「算数・数学の勉強は得意だ」という質問に、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と答えた割合を合わせると、
小学6年生
男子 約71%女子 約50%
中学3年生
男子 約56%女子 約36%
となります。
実際のテストの正答率はほとんど変わらないのに、「自分は数学が得意だ」と感じている割合には約20ポイントもの差があるのです。(文部科学省)
「数学が好き」「数学が分かる」でも同じ傾向
さらに、「算数・数学の勉強は好きだ」という回答でも男子の方が高くなっています。
中学3年生では、「好き」「どちらかといえば好き」と答えた割合は、
男子 約62%女子 約46%
でした。
「数学の授業の内容はよく分かる」という質問でも、
男子 約75%女子 約66%
となっています。(文部科学省)
つまり全国学力調査から見えてくるのは、
「女子は数学ができない」というより、「実際の学力以上に、自分は数学が苦手だと感じている女子が多い」
という姿です。
「できない」のではなく「できないと思っている」のかもしれない
これは教育を考えるうえで、とても重要なポイントだと思います。
例えば、同じくらいの点数を取った男子と女子がいたとしても、
男子「まあ数学は得意かな」
女子「この問題も間違えたし、私は数学が苦手」
というように、自分の能力に対する評価が違っている可能性があります。
文部科学省の専門家会議でも、数学の成績上位層の中に、学力があるにもかかわらず「数学が得意だと思っていない女子」が多いことが指摘され、なぜそのような意識になるのか分析する必要があるとの意見が出ています。(文部科学省)
周囲の何気ない言葉にも注意したい
ここで気をつけたいのが、大人からの声かけです。
「女の子だから数学は苦手でも仕方ないよ」
「男の子は数学が得意だからね」
励ますつもりの何気ない言葉でも、こうした言葉を繰り返し聞けば、子ども自身が、
「私は女子だから数学が苦手なんだ」
と思い込んでしまう可能性があります。
逆に、
「ちゃんとできているよ」
「前より解けるようになっているね」
「この問題を自分で考えられたのはすごいね」
と、実際にできたことを具体的に伝えていけば、「数学ができる」という感覚を少しずつ持たせることができます。
女子の数学で大切なのは「学力」だけではない
もちろん、一人ひとり得意な教科も苦手な教科も違います。男子だから数学が得意なわけでも、女子だから数学が苦手なわけでもありません。
ただ、日本全国の小学6年生・中学3年生を対象とした調査を見る限り、
数学の実際の成績には大きな男女差がない。
その一方で、
「数学が好き」「数学が分かる」「数学が得意」
という自己評価には、かなり大きな男女差があります。(新潟県産業振興センター)
だとすれば、女子の数学について考えるとき、「もっと勉強させなければ」と考えるだけでは十分ではないのかもしれません。
必要なのは、
「あなたは思っているほど数学が苦手ではないよ」
と、実際の結果をもとに本人へ伝えてあげること。
「数学ができない」のではなく、「数学ができないと思ってしまっている」。
全国学力調査の結果は、そんな子どもたちが少なくない可能性を示しているように思います。
※数値・内容は、文部科学省・国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査」の公表資料をもとに作成しています。(新潟県産業振興センター)




コメント